電子タバコの副流煙は有害なのか?健康への影響や危険性について解説
タバコの副流煙でパートナーや子どもへの悪影響を防ぐためにも、加熱式タバコや電子タバコへ切り替える喫煙者が増えてきました。しかし、加熱式タバコや電子タバコの副流煙にまったく害がないのか気になる方も多いと思います。
結論からいえば、電子タバコは副流煙が発生しないため、副流煙の有害性を心配する必要はありません。
また、周囲への健康安全面での配慮という点では、タバコ葉を使用する加熱式タバコよりニコチン・タールが含まれない電子タバコのほうがおすすめです。
今回の記事では、電子タバコには副流煙が発生しないことを詳しく解説し、電子タバコと加熱式タバコの違いや電子タバコを利用するメリットについても紹介します。
参考:「電子タバコの健康への影響: 喫煙したことがない定期的な毎日のユーザーの 3.5 年間の前向き研究|週刊科学ジャーナル」(nature)
電子タバコは副流煙が発生しない!
電子タバコは、フレーバーリキッドを電気によって加熱し、発生した蒸気を吸う仕組みとなっています。フレーバーリキッドにはタバコ葉を使用していないため、呼出煙(吐き出される煙)にニコチンやタールが含まれていません。
一方で、タバコ葉を火で直接燃やす紙タバコや葉巻、また加熱式タバコはタバコ葉を加熱するため、呼出煙にニコチンやタールが含まれており副流煙が発生します。
電子タバコには有害な副流煙が発生しませんが、使用する際には注意すべき点があります。もちろん、特筆すべきメリットもたくさん備えていますので、それぞれ詳しく解説していきます。
副流煙とは
副流煙とは、着火したタバコの先から発生する煙のことです。副流煙に対し、吸い口から体内に取り込まれる煙を主流煙といいます。また、主流煙を吸い込んだ後、口から吐き出したものは呼出煙と呼ばれます。
副流煙 | 燃焼中のタバコから直接放出される煙 |
---|---|
主流煙 | 吸い口から体内に取り込まれる煙 |
呼出煙 | 吸い込んだ後に吐き出される煙 |
副流煙と主流煙はタバコ葉の有害成分を多く含むため、さまざまな健康被害を引き起こします。紙巻たばこ1本を吸った場合、約30〜40%が吸い込む主流煙として発生し、残りの約50~60%が副流煙として周囲に放出されます。そのため、タバコを吸っている人が直接吸い込む主流煙よりも、周囲に広がる副流煙のほうが多くの有害化学物質を含んでいるのです。
参考:「副流煙」(厚生労働省)
副流煙を原因とする代表的な症状・疾患は、以下のとおりです。
頭痛、目やのどの痛み、動悸、息切れ、めまい、せき、たん、頻脈、皮膚温低下、血圧上昇、肺炎・気管支炎、気管支喘息、がん(特に肺がん)、心筋梗塞、脳卒中 |
参考:「受動喫煙の害」(一般社団法人 日本呼吸器学会)
さらに副流煙は、未成年者の発達に悪影響を及ぼすほか、妊娠中の女性が副流煙を吸うことで早産や低出生体重児の出生リスクも高まります。
上記の観点から、周囲の人を副流煙にさらして悪影響を与えないようにする「改正健康増進法」が平成30年7月に成立しました。自治体によっては、さらに厳しい規制を条例で定めているケースもあります。
参考:「受動喫煙対策」(厚生労働省)
電子タバコと加熱式タバコの違い
電子タバコと加熱式タバコは「新型タバコ」に分類されます。「電気で加熱する」「副流煙が発生しない」といった共通点を持ち、デバイスの仕組みがよく似ている機種もあります。電子タバコと加熱式タバコの大きな違いは「タバコ葉を使うか使わないか」という点です。
ここでは、電子タバコと加熱式タバコの概要をそれぞれ説明し、両者のニコチン・タールの有無や副流煙によるリスクについても解説します。
電子タバコとは
電子タバコは、さまざまなフレーバーが付加されたリキッドを加熱し、生成された蒸気を吸引するデバイスです。タバコ葉の燃焼をともなわないため、タバコ臭さや副流煙が発生しません。臭いや副流煙で周りに迷惑をかけたくない方におすすめです。
タバコ葉 | ニコチン | タール |
---|---|---|
使用しない | 含まれない | 含まれない |
また、デザイン性や携帯性に優れたデバイスが多く開発され、さまざまなフレーバーを楽しめるのが特徴です。ミント系やフルーツ系など多種多様なフレーバーがあり、手軽なリフレッシュアイテムとして人気があります。
加熱式タバコとは
加熱式タバコは、専用のスティックやカートリッジ内のタバコ葉を特定の温度まで加熱し発生した蒸気を吸引するデバイスです。火を使わないため副流煙は発生しませんが、主流煙と呼出煙にはニコチンやタールといったタバコ葉由来の成分が含まれます。
タバコ葉 | ニコチン | タール |
---|---|---|
使用する | 含まれる | 含まれる |
加熱式タバコのメーカー各社によれば、従来のタバコと比較してタールや一酸化炭素などの有害成分を大幅に抑えられているとしています。確かに紙タバコと比べて臭いや煙が少なく、灰も出ないのでクリーンなのですが、喫煙者の呼気にニコチンやタールなどのタバコ成分が含まれるため、受動喫煙にならないよう注意が必要です。
電子タバコが周りに迷惑を掛けない理由
昨今では、タバコを吸う際に周囲への配慮が強く求められています。多数の人が利用する施設とその敷地内では全面禁煙となり、街中の喫煙所の数も大幅に減少しました。家庭でも、家族に副流煙の影響を与えたくないと考える喫煙者が増えてきています。
このような状況の中で、電子タバコはもっとも周りに迷惑を掛けない選択です。電子タバコから発生する水蒸気には、タバコの三大有害物質といわれるニコチン・タール・一酸化炭素が含みません。周囲にこれらの物質による悪影響がないという理由から、電子タバコへの乗り換えを検討する人が多くなりました。
また、喫煙者の部屋や車は「タバコ臭い」と敬遠されることは多いですが、タバコ特有のニオイがない電子タバコなら、髪の毛や衣服にタバコ臭が付くこともないため、誰かと会う前に吸っても安心です。
さらに電子タバコは、火を使わず、灰や吸い殻の始末が不要です。利便性や安全性を考えると電子タバコはとても良い選択だといえるでしょう。
とはいえ、見た目は加熱式タバコとよく似ているため、タバコを吸わない人には違いがわからないことも理解しておく必要があります。電子タバコを使用するときは、周りの方への配慮を忘れず喫煙マナーに従って吸うことが大切です。
電子タバコを利用するメリット
電子タバコは、他のタバコよりも魅力的な点はあるのでしょうか。ここでは、紙タバコや加熱式タバコと比較して、電子タバコを利用するメリットについて解説します。
コスパに優れている
電子タバコを始めるにあたって、デバイス購入などのために一定の初期投資は必要です。しかし、その後のリキッドやコイルの交換費用は、紙巻きタバコを定期的に購入するコストと比べて安上がりになります。
これは、電子タバコはフレーバーリキッドの容量が多く、長期使用も可能であるためです。1回のリフィルで何日ももつため、紙タバコや加熱式タバコのように店頭で何箱も購入する必要がありません。
デバイスの種類や個人の吸い方にもよりますが、月単位の短いスパンでもランニングコストの差は顕著に現れます。長期的に使ってみれば、さらに電子タバコのコストパフォーマンスの良さがわかるでしょう。
タバコの値上げに影響を受けない
近年はタバコ税の増税が頻繁に行われており、それにともなった値上げで紙タバコと加熱式タバコの価格が跳ね上がっています。
紙タバコのメビウス(マイルドセブン)のここ10年ほどの価格推移を振り返ってみると、410円(2010年10月)から580円(2021年10月〜現在)へと170円も値上がりしました。メビウスの現行価格580円のうち消費税分を含む税負担額は334円で、価格の6割近くが税金です。
タバコ葉が使用されていない電子タバコは、タバコ税の影響を受けません。物価上昇にともなう値上げの可能性はありますが、タバコ税が上乗せされないのは価格面で有利です。
さまざまなフレーバーが楽しめる
電子タバコには豊富なフレーバーがあり、自分好みの味と香りを楽しめるのが魅力です。フルーツ系やミント系、タバコ風味など幅広い選択肢があり、そのときに吸いたいフレーバーのカートリッジへ交換するだけで簡単に味わえます。
紙タバコや加熱式タバコでもメンソールやフルーツフレーバーが販売されていますが、電子タバコのフレーバーにはタバコ葉由来の雑味がないため、非常にクリアな味わいです。タバコ臭さがないため、吸い終わった後も心地よい残り香がリラックスさせてくれます。
使い方と管理が簡単
多くのメーカーから多様な電子タバコデバイスが展開されていますが、基本的にはどのモデルも操作性はシンプルです。起動ボタンを押してから吸引するモデルが多いですが、ボタンさえなく吸引するだけで楽しめるものもあります。いずれにせよ複雑な手順は不要で、初心者でもすぐに使い始められます。
スティックタイプのシンプルな設計のPOD(カートリッジ)型の電子タバコなら、定期的な清掃やコイルの交換も不要です。特に入門用デバイスはユーザーフレンドリーな設計がされており、専門的な知識がなくてもメンテナンス面で困ることはないでしょう。
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周囲への配慮から、副流煙のない電子タバコへの切り替えを検討している人が増えてきました。電子タバコはタバコ臭がなく、ニコチンやタールも一切含まれないため、加熱式タバコと比べて周りに迷惑をかけません。また、ここ数年にわたるタバコ製品の度重なる値上げも、電子タバコへの移行を決断させる後押しになっています。
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